≪熱力学モデル≫

・熱力学
・エントロピー

・光を放つリューン
・同調能力とワールドタイムゲート開放

・エリンコ=ユーリ臨界点
・スローガラス
・光速度が遅いわけ

・WTGの光の柱


・熱力学

【熱力学】とは、【熱】の持つ特徴を扱った学問です。
エネルギー、温度、圧力など、我々にとって馴染み深い要素を取り扱っています。
が、しかしながらそのメカニズムはかなり複雑で難解です。

熱力学モデルはこの熱力学の仕組みを用いることで世界構造をモデル化するものです。
無名世界観における世界はリューン(=情報子)によって成り立っています。
リューンを原子(分子)と想定してその熱の移動を考えていくのがこのモデルの主旨となります。

つまり、

情報子=空気などの原子(分子)

可能性=熱

と、することで熱力学を無名世界観に応用させています。
熱は高きより低きに流れる、が可能性は高きより低きに流れる、といった感じにです。

WTGや同調能力、世界移動などは情報子の働きによるものです。
このモデルでは螺旋モデルではなく、WTGの仕組みなどを説明していきます。


・エントロピー

熱力学には【エントロピー】という考え方があります。
「乱雑さ」というように訳されていますが、これもまた複雑な概念です。

空気中の分子は【熱運動】していて、その動きはランダム(乱雑)です。
これはその空間(【系】と呼ぶ)の温度が高ければ高いほど大きくなります。
つまり空間の分子全てのエネルギーが高い場合、それらは激しく運動することになります。
激しく動く分子は空間の許す限り拡散し続けます。

逆に温度が低い場合を考えます。
エントロピーが低い、すなわち規則正しいということです。
熱運動の激しさも収まり、空気中の分子は規則正しく並ぼうとします。

[ エントロピー ]

また、エントロピーの大小は圧力によっても左右されます。
簡単に説明すると、圧力が高くなるとエントロピーが高い状態になります。
これは圧力をかけることで拡散しようとする力が増し、その分温度が上がるためです。


・光を放つリューン

針の無い注射器の先を塞いでおき、ピストン部を押しやり続けるとどうなるでしょう。
圧力により中の空気が押し込められ、そこから熱が生じます。

これは、狭くなった空間では空気中の分子が以前のように動き回れないために起こる現象です。
難しく言うと圧力によって無理矢理エントロピーの高い状態を作り出したのです。
分子の動き回れないエネルギーはそのまま余剰エネルギーとなります。
やり場を失ったエネルギーは熱となって注射器本体、そしてその外へと放出されるわけです。

圧縮される前の温度(エントロピー)に戻るまで可能な限り熱は放出されます。
熱として放出された分、ピストン内部のエネルギーは低くなっています。
こういった仕組みで圧力を用いて分子のエネルギーを放出させることができるわけです。

[ 圧力によるエネルギー放出 ]

この仕組みを情報子と可能性で再現してみます。
空間一杯に広がった情報子をぎゅっと一箇所に圧縮します。

高い可能性を持つ情報子は激しく運動していたのですが、圧縮されるとそれができません。
狭い空間で情報子が安定するには可能性を低く保つ必要があります。
そこでなんらかの形をもって可能性を開放しなければなりません。

つまり、それが【情報子から放たれる光】ということになります。
ですから正確には、

情報子から放たれる光=熱

という図式の方が正しいと思われます。
熱という存在自体は周囲になんの影響も与えません。
しかし、それが分子内にあってエネルギーとして存在するために色々な影響を与えるのです。

それと同じように光も世界に対してはこれといった影響を与えません。
光が情報子に蓄えられ、可能性として存在して初めて世界を動かす力となるのです。


・同調能力とワールドタイムゲート開放

つまり、WTGを開放するには情報子群のエントロピーを「低」から「高」にすればいいわけです。
そうすれば情報子は活性化し、周囲の情報子に可能性をばら撒いていく、という寸法です。
しかしながら巨大な注射器をわざわざ用意するわけにはいきません。

ここで登場するのが【同調能力】です。
可能性というのはいわゆる「個性」というものだそうです。
同調を進めれば個性は消失します、すなわち可能性は低くなります。

つまり、同調とは情報子における高エントロピー状態を無理矢理作り出すものだと言えます。
これが前段のピストンの役割を果たすことで情報子から光が放たれWTGが開放されます。

これをまとめると、

同調 → 情報子の高エントロピー化 → 光放出(可能性減少) → WTG開放

と、なります。

同調を行うための具体的な手段は色々ありますが(対話、歌、ネットなど)、
多くの人に認識される、というのが最も効率の良い方法と考えられています。


・エリンコ=ユーリ臨界点

情報子は引力を持っているそうです。
そんなわけで情報子同士は引き合う性質を持っているということになります。
しかしながら可能性が強い情報子は運動エネルギーの方が勝るためにあまり影響を受けません。
いわゆるエントロピー(乱雑さ)が高い状態です。

そこで可能性を下げてやるとどうなるかというと、徐々に引力の束縛が大きくなっていきます。
そしてある数値を超えたとき、情報子はお互いを引き付け始めます。
すなわち熱運動の力よりも引力の力が上回ったその瞬間です。

[ 情報子の万有引力 ]

この数値の事を【エリンコ=ユーリ臨界点】といいます。
臨界点とはこれも熱力学の用語で、原子などの振る舞い方が変わってしまう温度の事を指します。
情報子の振る舞い方が変わった時の可能性の量を指しているのでこれも臨界点なわけです。

エリンコ=ユーリ臨界点を超えた情報子は一ヶ所に集まり始めます。
集まった情報子はより大きな引力を備える事になるので臨界点はさらに上がります。
そしてまた多くの情報子が引き付けられ、光を放ちます。

WTGの開放とは情報子の可能性がエリンコ=ユーリ臨界点を超えた瞬間だともいえます。


・スローガラス

その一ヶ所に集まった情報子はどうなるのでしょう?
普通の気体の温度が下がって臨界点を超えるとどうなるかというと液体になります。
これを【液化】といいます。つまり気体が液化する温度が臨界点なわけです。

というわけで可能性の下がった情報子は液体になります。
しかしながら液化した情報子の例は今のところ確認できていません。
そこでもう少し可能性を下げてみます。

【液相】からさらに温度を下げると【固相】に【相転移】します。
簡単に言うと情報子が液体から固体になるということです。
これがいわゆる【スローガラス】です。

スローガラスとは光の屈折率が極度に高いガラスです。
これに光を蓄えることで可能性を保存したり運搬したりすることができます。
【OVERSの青い宝石】もスローガラスに青い光を閉じ込めたものです。

また、七夜月幻想曲に登場する【黒い宝石】も同じくスローガラスです。
これは作中にリューンが相転移する過程が描かれています。


・光速度が遅いわけ

スローガラスには屈折率が高いという特徴があります。
つまりスローガラスの内部は光速が遅い、ということになります。
これを逆手にとるとある法則が導き出されます。

スローガラスとは情報子が集まったものです。
すなわち情報子が集まれば集まるほど光の速さは遅くなるということです。

まとめると、

情報子のエントロピーが低い=情報子の密度が高い=光速が遅い

ということです。 光速度モデルでは「なぜ光速に差ができるか」不明でした。
しかしこの法則を使うことによって各世界の光速度を変化できることがわかるのです。

そんなわけで、光速度モデルの法則を絡めると、

情報子の密度が高い=光速が遅い=世界のスケールが小さい=エネルギーが少ない

となり、見事に合致します。


・WTGの光の柱

情報子は重力の影響も受けています。
そんなわけで情報子は地表に沿って分布している事になります。

しかしながら可能性の高い情報子は重力を振り切って動き回る事ができます。
このあたりの理屈は情報子そのものが持つ万有引力と同じです。

WTGが開き何らかの形で光が流れてくると情報子は活性化し、激しく運動します。
つまり重力の戒めから解き放たれ、空の彼方へと拡散していくのです。
これが【WTGの光の柱】の正体です。

ある程度上空まで上がった情報子はまた重力に引っ張られて落ちていきます。
これは上空においては可能性(光)の量が少なく、情報子のエントロピーが下がったせいです。
そしてまた地表近くで光を受け取るとエントロピーが上がり、再び拡散していくのです。
これを【WTGの対流現象】と呼びます。

[ WTGの対流現象 ]

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